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日本のスパイと言えば、猿飛佐助、霧隠才蔵、服部半蔵などなどの忍者。我々の世代だと子供の頃から知っている名前です。伊賀忍者、甲賀忍者、島原の乱の時に、キリシタンでありながら陣営を裏切って、最後は満足に死んだスパイなど、非常にプロフェッショナルな、二重スパイになりかねない人物が日本では愛されているのです。
スパイMなんてまさに典型的で、日本共産党の中に忍び込んでというより中から発生して警視庁に共産党を少しずつ売るのです。だが、全部は売らないで大物は逃がすのです。最後は満州に渡ってそこでひと働きして、引き揚げてきて、晩年は北海道で無事に亡くなったようですが、そういうスパイが日本人は好きなのです。
これは、日本文化の一つの側面だと思うのだけど、その点でイギリスが似ています。サマセット・モームがスパイだったし、20世紀ではフィルビー。ジェームズ・ボンドという架空の人物ですが、プロなのです。イギリスの産業でイギリス人が誇るものが5つあって、演技、製薬、陸上の中距離、スパイ、スパイ小説だそうです。
製薬とイギリス人との関係は難しいのですが、中距離というのは、いかにも策略に満ち満ちている感じがします(笑)。策略と言えば実はイギリスというのは、劇場そのものの色々な仕掛けについても先駆的なのです。
ジョン・ディーとかイニゴ・ジョーンズとかいう人が現れて、たとえば雷が鳴るとか、火事が起こるとか、神様が出てくるとか、こういう仕掛けを考えます。これはルネッサンスの魔術思想と大いに関係があったようなのですが、日本でも竹田出雲などの「からくり」が盛んでした。フランシス・イェーツの『世界劇場』はそのことを書いています。
製薬にも関係があるのですけど、魔術、仕掛けで人をだます目くらまし、これはイギリス人と日本人の好きなことなのです。テアトロ・ムンディ思想といえば、17世紀のイギリスに盛んだったのは、バラ戦争のせいではないでしょうか。
日本の戦国と似た意味で、あのバラ戦争の影響は、シェイクスピアの英国にどっしり、のしかかっています。貴族間の実力闘争はもう嫌だと言うので、妥協の産物として改めて国土をつくるのです。だから影武者なのですよ、イギリスの王様は(笑)
日本には「防衛駐在官」という職務があります。これは、日本が世界各国に置く大使館に派遣される、自衛隊幹部のことで、「外務省の一等書記官」という肩書きで、米国やロシア、中国など、約40ヶ国に50人が派遣されています。
彼らの仕事は、「スパイ活動」です。軍人が大使館を拠点にして、その国の軍事情報を収集するというものです。旧日本軍でも使用していたことから、「防衛駐在官」に改めただけなのです。
ちなみにKGB出身の切れ者、ロシアのプーチン大統領はKGB(ソ連国家保安委員会)出身です。KGBは、国内では秘密警察、国外ではスパイ活動を行う諜報機関です。アメリカにもあります。米防総省が「戦略支援部」と呼ばれるスパイ活動部門を極秘に設置していて、イラクやアフガニスタンなどで活動していたそうです。
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