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物価が安くなるにつれて、給料も安くなります。すると、消費者の購買力が落ち、益々、物が売れなくなるのがデフレによる悪循環の構図です。給料が下がっても、物価が安くなっていれば、差し引きゼロになり、生活水準は変わらないはず、モノの値段が下がって、どこが悪いのだろうと多くの人が抱く素朴な疑問だろう。
何年か前はハンバーガーや牛丼をはじめとして、外食産業の値段はどんどん下がりました。ユニクロをはじめ、安くて質のいい衣料品が街にあふれました。マンションの値段が下がり、バブルの頃を思えばローンも随分、安くなりました。衣食住だけでなく、規制緩和の結果、航空運賃などもずいぶん下がったので海外旅行に行く人も大勢いました。
確かに、デフレでそういう面もあるのだが、ここで忘れてならないことが、いくつかあります。私に一番重く圧し掛かるものは、物価がどんなに下がっても、過去の借金は減らないということです。給料が下がれば、ローンが払いきれず、バブルの時に購入したマイホームを手放さなければならなくなるのです。
売却した代金でローンを返せればいいのですが、地価の値下がりでローンが残ってしまうのです。日本での自殺者が激増したのが、持ち家を所有する人が多かったでしょう。デフレがローンを抱えている人の首を締めつけていたのです。
問題は、住宅ローンだけではない。あらゆる場面で生じてくるのです。例えば、月給30万円の方が、月々5万円のローンで車を購入したとする。5万円なら簡単に返せるはずだったのに、デフレで給料が15万円になってしまったら、毎月15万で生活していた方は、毎月5万円を出費するのは容易なことではないのです。
しかも、恐ろしい事に、物価が下がる以上に、収入が落ちる傾向があると言う事です。デフレ時には、企業がどんどん倒産する。要するに、物価は絶対にゼロにはならないが、収入は失業すれば簡単にゼロになるのです。デフレは人々の希望をも奪ってしまうのです。給料が右肩上がりだと思えばこそ、日本人は比較的気軽に借金をして、物を購入しました。
それが、デフレですべてが右肩下がりとなり、お先真っ暗となれば、誰も大きな買い物をしなくなります。それが、正しい自衛策であっても、人々が購入を控えれば、企業の経営状態は益々悪化していくのです。それが、さらに失業者をふやし、デフレはいよいよ加速していくという仕組みなのです。
景気が悪くなり物が売れない⇒売れないから物の値段が下がる⇒安く売った分会社の儲けが減り従業員の給与も下がる⇒従業員の家族は苦しくなり、益々、物を購入しなくなる⇒もっと景気が悪化して物が売れなくなる⇒売れないからもっと値段を下げる⇒安く売った分会社の儲けが減り従業員の給与も下がる⇒従業員の家族は苦しくなり、益々、物を購入しなくなる⇒もっと景気が悪化して物が売れなくなる⇒売れないからもっと値段を下げる⇒安く売った分会社の儲けが減り従業員の給与も下がる⇒従業員の家族は苦しくなり、益々、物を購入しなくなる⇒もっと景気が悪化して物が売れなくなる⇒売れないからもっと値段を下げる⇒安く売った分会社の儲けが減り従業員の給与も下がる⇒従業員の家族は苦しくなり、益々、物を購入しなくなる⇒もっと景気が悪化して物が売れなくなる⇒売れないからもっと値段を下げる⇒デフレスパイラル(自爆)
さて、デフレスパイラルからの脱却はうまくできるのであろうか
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