|
ルイ11世は、シャルルの死に乗じてブルゴーニュを奪います。ついでにフランドルも狙いましたが、 頓挫します。そしてブルゴーニュ公家のシャルルの一人娘のマリアが、ハプスブルク家のマクシミリアン1世と婚約して、ハプスブルク家がフランドルを獲得します。
ここからハプスブルク家の幸運が始まり、有名な言葉が生まれます。「汝幸いなるオーストリアよ、結婚せよ」です。オーストリアの幸運なるハプスブルク家は、結婚で領土を広げていけばいい。戦争など、よそに任せておきなさい、というわけです。
イベリア半島ではカスティージャの王女イサベルとアラゴンの王子フェルナンドが結婚してスペイン王国が誕生しました。 2人は、イベリア半島からイスラム教徒を追放するレコンキスタの運動を一所懸命やりました。
そして1492年、アルハンブラ宮殿で有名なグラナダを陥落させ、レコンキスタを完成します。イサベルとフェルナンドは、「ローマ教会が正しい。異教はけしからん」と思ってレコンキスタをやっていました。
だから、レコンキスタでイスラム教徒を追い払ったら、次はユダヤ人だということで、ユダヤ人をスペインから追放してしまいます。ユダヤ人は、スペインの金融を一手に引き受けていました。 レコンキスタの戦費を賄ってくれたのもユダヤ人です。
そんなユダヤ人を追放したら、国力が弱くなるのは目に見えています。しかし、2人は経済より宗教の方が大事だと思っていて、判断を誤ります。ローマ教皇から「カトリック両王」という称号を与えられて2人は喜びましたが、のちにスペインがおかしくなる種は、このときにすでに撒かれていたのです。
レコンキスタが完成した1492年は、コロン(コロンブス)がバハマ諸島に到達した年でもあります。コロンが新大陸に到達したことで、大変なことが起きます。ペスト大流行でペスト禍で生き残ったヨーロッパ人はめちゃ強い免疫を持っています。
そんな人間ばかりのコロンの船隊がバハマ諸島に到着して、そこでくしゃみをしたらどうなるか。ヨーロッパの旧大陸からやってきた、めちゃ強い病原菌が新大陸に蔓延します。こうして、新大陸の人々は、旧大陸から船が到着しただけで、天然痘やはしかにかかってバタバタと死んでいきます。免疫を持たないわけですから。
あまりにもたくさんの人が死んでいくので、旧大陸の人々は領土を得られても、耕す人がいないということで困りました。そこでアフリカから黒人を連れてくることになりました。 すると、働き手を奪われたアフリカが衰退します。
コロンの新大陸到達は「コロン(コロンブス) 交換」とも呼ばれます。新大陸と旧大陸でいろいろなものが交換されたという意味です。農作物の交換では、旧大陸はジャガイモやトウモロコシ、タバコなどを得ました。
新大陸も小麦などを得たものの、どちらが得をしたかといえば、旧大陸の圧勝です。これが病原菌の交換となるともう、新大陸は旧大陸に0勝100敗くらいで負けたように思えます。でも、実際には1勝99敗ぐらいです。旧大陸に梅毒を輸出して、一矢報いた格好です。でも、被害の規模が違いすぎます。
|
|