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マーク・ザッカーバーグに、フランスメディア「ル・ポワン」の独占インタビューしていたお話です。あなたは学生時代、ローマ皇帝アウグストゥスやその時代の詩人・ウェルギリウスの『アエネイス』に影響を受けたそうですが、テクノロジーは歴史の知識も伝えられるでしょうか?
「ザッカーバーグ」VR(仮想現実)を使えば、実際に行きにくい、さらには行けない場所にも行けるようになります。歴史を再構成しながら、芸術史上の事件から架空のシナリオまで、そのなかに潜り込むことが可能になるでしょう。
とりわけVRは外科医を養成したり、難民の日常を知ったりするには、非常に便利なものです。同じように、歴史的人物の人生を生きてみることもできます。南カリフォルニア大学の情報科学准教授ハオリーによると、あと半年後には「ディープフェイク」の判別は不可能になるとも言われています。
VRの強みは「没入感」ですが、一方でこうした情報操作を増長させてしまうというリスクはありませんか?「ザッカーバーグ」反対に、人間というものの価値をよりいっそう高めると思います。たとえば、すべての人がウェブ上で自己表現できるようになったことはインターネットの功績の一つです。
その一方で、誰かと対面することの意義もまた高まりました。オンラインで誰かと一緒にいる、その人と交流するのは良いことですが、その相手の顔やジェスチャーを見られるのはもっと良いことです。さらに、別に都会に住んでいなくても、どこにいてもさまざまな機会に出会えれば、社会の不満もいっそう少なくなります。
なぜ、すぐにAR(拡張現実)には向かわないのですか? ARのほうが結局はVRよりずっと可能性があると思うのですが。「ザッカーバーグ」たしかにARのほうが可動的です。VRのヘッドセットをつけたまま路上を歩くことはありませんから。でも言うなればARは未来の携帯電話で、VRのほうは未来のテレビです。両方とも大切なのです。
もちろんテレビを路上に持ち出すことはありません。でも、僕たちが画面を見ている時間の半分はテレビに費やされているわけです。誓ってもいいですが、VRの役割はあなたが考えているよりもはるかに重要です。ですが、いまは多くの人がテレビを見ていません。
「ザッカーバーグ」そんなことないです、あなたもモバイル上で見ていますよ!ちなみにARコンタクトレンズは15年以内にできそうですか?「ザッカーバーグ」ええ!5年以内だったりしますか?「ザッカーバーグ」だといいですけど!(笑)ただ、すでに達成されていることにも目を向けてみてください。
僕たちは世界中のどの企業よりも、そういった分野に投資しています。その進化は現時点でも充分びっくりするくらいですよ。 数年前、今と同レベルの体験をするには、600ドルのヘッドセット、数千ドルのPC、特別なイヤフォンに、さまざまな接続機器を買わねばなりませんでした。
それがいまや400ドルのヘッドセットひとつだけで、時空を超えた旅行ができるようになっています。僕たちはこうしたテクノロジーを、すべての人が手に入れられるようにしたい。だから、僕たちは売上の20%にあたる102億ドルをAI、VR、AR分野の研究、そしてより環境に優しいデータセンターの開発に投資しています。
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