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No.807 への▼返信フォームです。

 ■ リバイバル 抄
   ++ 直治 [URL]    

 

散った花のうすい日陰をゆく
迎えを待つ小さな雨にふられる
生きるつめたさを布団抱くよ
胎児のようにうずくまり朝の見たくない光
朝のつめたい便所をいったりきたり
帰りたい日々が朝のシーツくるまっている
暖色の明かりにわびしい朝の洗顔する
朝のシンクに劣等感がばらけている
夏の肌着で我が身くさぐさとする
夕陽にばかみたいな買い物袋さげて来た
朝のシーツにはだけて我が身でっぷりとある
がたびし工事の音がして薄曇り
ぽろりんピアノ弾いているつたない秋です
また薄暗い部屋にもどって来た
座敷牢のような部屋の灯りをつける
この身がいちばんの荷物として秋の風吹く
蝶が舞うしずかな水音さす
郵便屋が去ったあとの朝の光
どこ行く宛もなく煙草の火が私の所在
さみしい家に帰りゆくだけ長い橋わたる
せまくるしい街のぬるい風に追い越される
どこにも翔べぬ白々と秋空
しずけさに胸つまらせており白日
はっきりと影としてあり侘しさ
さみしい宿をあとにして帰途につく秋の風だ


..2020/09/30(水) 21:58 No.807

 ■ Re:リバイバル 抄    ++ 吉明    
 

うすい日陰、小さな雨、生きる冷たさ、わびしい朝、つたない秋、しずかな水音、さみしい家、せまくるしい街、ぬるい風、これらの形容は皮膚で感じ取るような切実さがあり、いのちの儚さや死への誘いが伝わります。ただ絶望の果てに見えてしまう自分の姿。直治さんの俳句に日本の詩情の根源を見る思いがいたします。

..2020/10/20(火) 17:26 No.808
 ■ Re:リバイバル 抄    ++ 直治    
 

吉明さま

このたびもご感想ありがとうございます。
伝わって欲しいことが伝わっていて、とても嬉しく思います。





..2020/10/20(火) 18:40 No.809


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