
五月晴れの下、さわやかな風に吹かれながら穴を掘り、死んだムクドリを庭の隅に葬った。 両親が亡くなった時に沢山の方々からいただいたお線香から数本を手向けさせてもらった。 これまでにコミュニケーションのとれた野鳥は2羽目で、前回もムクドリだった。 小学校の高学年の頃だったか、ある台風一過の晴れ渡った日に空を見上げたら、青い空にひとつの黒い点が見えた。 なんだろうなと見ていたらその点は徐々に大きくなり、ああ鳥だなと思ったのも束の間、自分の頭のうえにバサッと乗った。 明け方までの台風にあおられて弱り切っていたのかどうなのか、いずれにしても助けを求めて来たのだろう。 家にあった鳥籠に保護して水やエサをあげていたが1週間後に止まり木から突然落ちてそのまま死んでしまった。 今回のムクドリを見てくれた獣医さんによれば、野生動物ってのは5分まえまで元気だったのにいきなり死んでしまうものなのだそうだ。逆に、生きるとなったら凄まじい生命力でみるみるうにち復活するとも言っていた。 野生にはダラダラと生きていく場所も時間も無い厳しさがあるのかもしれない。 うちに来たムクドリ達には、ほんのちょっとだけど人間並みのダラダラした時間を提供できたのかもしれないな。 |